专利摘要:
内部空間を規定している筺体6と、上記内部空間に通じる少なくとも2つのポート9、10と、該ポートの間にて該内部空間を介して血液をポンピングするための少なくとも1つのポンプ11、12とを備えており、該ポートおよび該内部空間が、弁によって遮断されていない、連続的な血流経路を形成している、心室補助装置。
公开号:JP2011515174A
申请号:JP2011501282
申请日:2008-03-26
公开日:2011-05-19
发明作者:トンプソン,レイモンド;ヤコブ,マッジ,ハビブ
申请人:カーディオ アシスト リミテッドCardio Assist Limited;
IPC主号:A61M1-10
专利说明:

[0001] 本発明は、心臓補助装置に関する。必ずしも限定されないが、より具体的には、改良された、移植可能な左心室補助装置に関する。]
背景技術

[0002] 心室補助装置、すなわちVADは、心臓の心室の1つまたは両方が血液をポンピングさせるのを補助するために使用される機器である。VADには、右心室を補助するように設計されたもの(RVAD)もしくは左心室を補助するように設計されたもの(LVAD)、または一度に両方を補助するように設計されたもの(BVAD)がある。LVADが最も広く用いられているが、原因となる心臓病に基づいて装置が選択される。]
[0003] 初期の装置では、VADポンプは体外に配置されていた。近年では、最も一般的に使用されているVADは、統合ポンプを備えており、開心術または非開心術中に移植され、制御ラインを用いて皮膚を介して人体装着型制御装置にまで通じているものである。統合ポンプを備えた、移植可能なVADの使用によって、患者の動きやすさが向上するため、患者は病院外でほぼ通常の生活を送ることができる。]
[0004] VADには、連続流型インペラポンプを用いるものがある。このインペラポンプにおける唯一の可動部はロータである。これらは相対的に小型であり、挿入が容易であり、適度な耐久性を有すると考えられる。これらが心室の負荷を完全に取り除くことができるかについては疑問が残るところではあるが、適切な循環を維持することはできると考えられている。さらに、これらのポンプの使用には、抗血小板薬物治療と併せて抗凝固療法が必要であり、出血のリスクおよび/または装置内のロータの微小な隙間によって部分的に生じる血栓塞栓性合併症のリスクが存在する。]
[0005] 他のVADは、ロータが磁力的または機械的に懸架されている遠心ポンプを使用しているので、ボールベアリングを使用していない。この特徴は、毎分の回転数が低いことと併せて、耐久性を向上させる。しかし、このようなVADも、血栓塞栓性合併症を含む合併症のリスクを伴う可能性がある。]
[0006] しかしながら、近年まで最も広く用いられていたVADは、心臓の自然な脈動を模倣する拍動装置である。これらの拍動装置は、押し板と、流入弁と、流出弁とを備えた移送型ポンプを使用している。これらの装置は、心室の負荷を取り除くのに効果的であり、循環を維持しながら生体心臓の回復を助ける。しかし、拍動装置は複数の欠点を有する。例えば、大型であり、かつ複雑であることから、挿入に関する危険性を高め、患者が感染症に罹患しやすくなり、近傍の器官を圧迫する可能性がある。また、それらは、耐久性に影響を与える可能性がある多くの可動部位を含む。]
[0007] 図1は、拍動型LVADそのものを示している。流入管1を左心室の心尖に挿入する。心室が収縮すると、血液が流入管1を通過し、装置筺体2内のポンプに送り出され、その後、流出管3を通ってポンプから大動脈に送り出される。装置のポンプ動作の間に血液が大動脈から筺体2に逆流すること、または筺体2から心室に逆流することを避けるために、一方向弁が流入管および流出管に設けられている。リード線4は、装置から患者の皮膚を介して延びており、患者の体外に装着されている電源および制御コンピュータと、装置とを接続している。] 図1
[0008] 図1のLVADは、左心室からの血流を受け止め、これを保持し、そして、大動脈に押し出すことがわかる。これには、大型の押し板を備えた相対的に強力なポンプが必要である。そうなると、押し板の外側に外気への通気孔を設ける必要があり、通気管5が皮膚を通過する必要がある。この通気孔がなければ、移送型ポンプが真空に対して押し板を変位させなければならなくなり、多大な電力を消費することになる。] 図1
[0009] 従来のLVADは、極めて高い治療効果をもたらし得るが、感染症、免疫抑制、凝固に伴う梗塞、および抗凝血に伴う出血を含む合併症を招く可能性もある。例えば、血流が滞っている部位では、LVAD内部で血栓が形成される危険性が高いため、血栓症(凝固)を避けるために抗凝固治療を行う必要がある。抗凝固剤を用いることにより、出血のリスクが高まる。]
[0010] 一般に用いられている既存のVADの設計には、その他にも多くの欠点がある。移植可能な装置は、一般に大型で(容積約120cc)、重く、通常は移植のためにリスクを伴う開心術を必要とする。大型であることから、これらの装置を胸腔内に配置することができず、通常は胃の部位に装置を配置する。それにより、血液が移動する距離を広げなければならず、さらに強力なポンプを使用する必要がある。]
[0011] 適切な薬物療法と組み合わせたLVADの使用は、さらなる大きな治療を行わずに患者を回復させる可能性を秘めている。より多くの患者にLVADを用いることが好ましい。しかし、軽度の心臓病の患者には、既存のLVADを移植するための開心術に伴うリスクおよび合併症に関するリスクが大きすぎる。さらに、既存の装置の大きさから、それらの装置は、約70kg以上の患者にのみ適しており、小柄な成人や子供には使用できない。侵襲性技術をほとんど用いずに移植することができる、比較的小さくかつ信頼性の高いLVADがあれば、LVADの使用が増加すると考えられる。]
[0012] WO2000/076288号公報は、心臓補助に対する異なる手法を開示しており、大動脈周りの膨張カフの使用について示している。カフの膨張により大動脈が収縮し、カフの収縮により大動脈が膨張する。すなわち、実質的に大動脈が第2の左心室となる。この開示された装置は、心臓自体に処置する必要がなく、血液と装置との接触を避けることができる点において潜在的な利点をもつ。しかし、この装置は、大動脈組織に損傷を与えるという重大なリスクを有しており、このような装置の動物実験および初期臨床試験の間に、大動脈の外壁に組織学的変化が認められた。]
[0013] 本発明の第1形態によると、内部空間を規定している筺体と、上記内部空間に通じる少なくとも2つのポートと、該少なくとも2つのポートの間にて該内部空間を介して血液をポンピングするための少なくとも1つのポンプとを備える心室補助装置であり、ポートおよび内部空間が弁によって遮断されていない連続的な血流経路を形成しているという構成を備える装置を提供する。]
[0014] 本発明に係る実施形態では、当該装置は、心臓から動脈系に流れ込む血液を制限しないことから、大動脈に接続された「開回路」を有する二重安全構造をとっている。これらの実施形態では、装置の複雑さ、および装置に必要な部材の数を減らすことができるため、小型化、および製造コストの削減が可能となり、さらに故障の可能性を低減することができる。]
[0015] 好適には、当該筺体は、略円筒型の内部空間を規定している。当該ポートは、インサイチュにてその形状を実質的に保持する湾曲管を有する構成であってもよい。この場合、2つのポートの湾曲方向が、互いに略逆方向である構成であってもよく、上記ポートが、略正反対の位置や、軸方向に離れた位置にある構成であってもよい。また、上記ポートが、内部空間を規定している筺体の内面と実質的に接するように内部空間に通じている構成であってもよい。湾曲、および筺体への出入り口の異なる平面を含む、これらのポートの形態は、うっ血または乱流が生じない、血液の滑らかな螺旋経路を得るのに役立つ。さらに、この血流の螺旋経路は、大動脈の流れと混ざり合う。]
[0016] 本発明に係る実施形態は、一般的なVADに伴う合併症のいくつかのリスクを低減させる。当該装置の形状により、装置内の血液が確実に装置の内外に「渦流」し、滑らかで連続的な流動パターンを可能とし、凝固が生じる可能性のあるうっ血領域を回避することができる。その結果、抗凝固治療を行う必要性が低減し、出血のリスクが低くなる。]
[0017] 本発明に係るさらなる実施形態では、当該装置は、当該ポートの間にて当該内部空間を介して血液をポンピングするための1対のポンプを備え、各ポンプが、内部空間の横断面に設けられた押し板を有し、駆動装置が、押し板と筺体の内面との間に設けられており、可撓性隔膜が、上記押し板または各押し板の端部を筺体の内部に連結させている。]
[0018] 本発明に係る実施形態では、ポンプ容量が増大する。また、これらの実施形態では、1つのポンプが故障しても残りのものが補助することができるという二重安全構造をとる。さらに、第2のポンプが、故障した第1のポンプを補完することもできる。]
[0019] 本発明に係る好適な実施形態では、駆動装置は、線形振動アクチュエータまたは電気活性ポリマー材料を有していてもよい。]
[0020] 電気活性ポリマー材料を用いた本発明の実施形態は、個別のアクチュエータモータを必要とせず、装置の大きさ、および所要電力を低減させることができる。]
[0021] 当該装置は、好適には、患者の胸腔内にて心臓近傍に適合するように構成されており、第1のポートが上行大動脈の後側部に移植され、第2のポートが上行大動脈の前側部または大動脈弓に移植される。]
[0022] 本発明の実施形態により、当該装置が大動脈弁の動作を利用して心室への逆流を回避することができ、人工弁を必要としない。この人工弁の周りでは凝固が生じる危険性が高く、耐久性の問題が生じる可能性がある。発生する少量の逆流は、大動脈弁によって冠状動脈の中に向かい、冠状動脈への生体の血流を著しく高める。]
[0023] 本発明に係る実施形態では、この初期運動量を最大限に活用することができ、弱い心臓に設けられた場合であっても、相対的に小型で、かつ強力ではないポンプを使用して、従来技術と同様の性能を得ることができる。装置の小型化により、低侵襲性内視鏡技術を用いて装置を挿入することができ、開心術の必要がなくなり、移植に伴うリスクが低減される。]
[0024] 本発明の第2形態では、上記実施形態のいずれかに係る装置を備えた心室補助システムであって、電源が、上記ポンプまたは各ポンプ、および上記ポンプまたは各ポンプの動作を心臓の位相に同調させるための制御装置に連結された構成をとる心室補助システムを提供する。]
[0025] 本発明の好適な実施形態では、上記制御装置は、左心室に対するカウンターパルセイション(対抗脈動)を行わせる。患者のECG信号を検知するセンサが、上記制御装置に連結されていてもよい。]
[0026] 本発明の第3形態では、人体を治療するための方法であって、身体の胸腔内に心室補助装置を移植するステップと、当該装置の第1のポートを上行大動脈の後側部に取り付けるステップと、当該装置の第2のポートを上行大動脈の前側部または大動脈弓に取り付けるステップと、当該心室補助装置を作動させて第1のポートと第2のポートとの間にて血液をポンピングさせるステップとを含む方法を提供する。]
[0027] 好適には、当該心室補助装置は、カウンターパルセイションを行うものとして作動し、心室拡張期の間に上記ポート間に血液をポンピングさせる。さらに、当該心室補助装置は、特定の拡張期の間に血液を送り出し、かつ心室拡張期と心室拡張期の間に休止するように当該心室補助装置を作動させてもよい。]
[0028] 本発明に係る実施形態において、毎拍ではなく少ない周期の間に心臓を補助するように構成されている場合、ポンプが作動していなくても血液が装置を流れ、この生体の血流がポンプ容積を洗い出し、血栓症のリスクを低減させるという更なる特徴を付与する。]
[0029] 好適な実施形態では、上記心室補助装置が、本発明の第1形態に係る装置である。]
図面の簡単な説明

[0030] 心臓に取り付けられた従来の左心室補助装置を示している。
本発明の一実施形態における左心室補助装置の斜視図である。
図2の左心室補助装置の断面図であり、当該装置が2つの異なる動作状態を示している。
図2の左心室補助装置の断面図であり、当該装置が2つの異なる動作状態を示している。
心臓の左側に取り付けられた、図2の左心室補助装置の説明図である。
ECG信号を分割したときの構成要素を示している。
心臓の左側に取り付けられた、図2の左心室補助装置の概略した説明図である。
心臓の左側に取り付けられた、図2の左心室補助装置の概略した説明図である。] 図2
実施例

[0031] 図2は、略中空の円筒型筺体6を形成するために、気密シールによって互いに固定された左側板および右側板を備えたLVADを示す。当該側板のそれぞれが、湾曲した中空管7、8に接続されているか、または中空管7、8と一体形成されている。当該側板が互いに固定されると、当該管7、8は、略正反対の位置にて筺体の中空内部に通じ、筺体の湾曲した内面に沿った湾曲を描くようにして筺体に接続される。筺体から遠位にある当該管の両端(以下、「下行ポート」9および「上行ポート」10と称する。)は、互いに略反対方向を向いている。当該管7、8、および筺体6のいずれも弁を有していない。] 図2
[0032] 当該筺体を形成する当該側板、および当該管は、チタンや成形ポリウレタンなどの耐久性のある生体適合性材料によって構成されている。当該筺体の中空内部は、60cc〜80ccの範囲内の容積をもっていてもよく、当該管の内径は、約10〜14mmであってもよい。]
[0033] 図3および図4に示すように、2つのポンプ11、12が、筺体6の各内部側壁に取り付けられる。各ポンプは、略円形の押し板13、14を有し、各ポンプは、例えばUS10/309,045号公報に記載されたような線形振動アクチュエータ(LOA)15、16によって駆動される。当該押し板は、チタンや成形ポリウレタンなどの耐久性の高い生体適合性材料から構成されている。当該押し板の端部は、セグメント化ポリウレタンなどの耐久性の高い生体適合性材料から構成された可撓性の環状隔膜17、18によって筺体に接続される。ポンプが「停止状態」になると、血液を満たすことができる筺体内部に利用可能な容積が生じ(図3)、一方、ポンプが「動作状態」になると、押し板が駆動して当該利用可能な容積を低減させる(図4)。2つのポンプ11、12は、合わせて約20cc〜50ccの範囲内の容量をもち、後述するような外部電源およびコンピュータによって電力供給され、かつ制御される。ここで、装置の操作について説明する。] 図3 図4
[0034] 図5は、心臓の上行大動脈上に移植された上記装置を示す。下行ポート9は、心臓の最も近傍、大動脈弁近傍における大動脈の後側下部、冠状動脈の上方、に移植される。上行ポート10は、大動脈の右側における前側部、大動脈弓に曲がり込む部分に移植される。当該装置が上記位置に設けられ、上行ポートおよび下行ポートが上記のように偏心しているので、上行大動脈内にて、当該装置からの流れが通常の螺旋状の流れに逆らわず、かつ当該螺旋状の流れを強めることを可能とし、うっ血領域のない連続的な流れのパターンが得られる。電力および制御ライン20が装置19から患者の皮膚を介して延び、患者の体外に装着された電源および制御コンピュータ21と、装置とを接続している。電源には、感染リスクを伴う経皮的なワイヤの代わりに、経皮的なエネルギー伝送システム(TETS)を使用することができる。当然のことながら、電源および制御装置は、当該装置に完全に統合されており、上記システム全体の移植が可能となる。] 図5
[0035] 制御コンピュータ21は、ECGセンサ22に連結されており、このセンサが患者の心拍を検知する。制御コンピュータは、左心室の収縮および膨張にポンプを同調させるためにこれらの信号を用いる。より詳しくは、制御コンピュータは、各QRS群の開始を検知し(図6を参照)、それに基づいてポンプを作動させる。他の実施形態では、制御コンピュータは、ECG信号を検知するよりもむしろ、圧力測定(弾性表面波(SAW)およびマイクロマシンシステム(MEMS)技術を用いた感圧装置が開発されている)、または心臓の可聴音(すなわち、大動脈弁の閉鎖による特定のノイズ)の測定、もしくはポンプを制御するための動脈に流れる血液の測定に使用してもよい。図5は、外付けの制御コンピュータに直接接続されているECGセンサ22を示している。使用するあらゆるセンサが、装置と共に移植される。] 図5 図6
[0036] 図6に示すように、心室収縮期の間に、左心室の収縮により血液が押し出されて大動脈弁を介して大動脈に流入し、装置19の内部容積に流入する。制御コンピュータの制御下において、押し板13、14の線形アクチュエータによって能動的に引き込むことによって、装置19の充填を補助してもよい。これにより、生体心臓を空にすることに対して圧力および抵抗を低減させることができ、筺体6内に吸引を掛けて、充填に対して生じ得るあらゆる抵抗を緩和させることができる。そして、大動脈弁が閉鎖し、心臓は心室拡張期に入る。] 図6
[0037] この時点では、制御コンピュータにより線形アクチュエータが押し板13、14を駆動させて筺体6の内側に押し出し、血液が利用できる空間を減らすことによって、管7、8を介して血液をポート9、10から送り出す。装置19が上記の形状であるので、筺体6内部の血液の流れは略螺旋経路を辿り、装置19内の血液は心臓のポンプ作用によって得られる初期運動量にて流れる。押し板13、14の動作により、装置内の大半の血液がこの螺旋経路を辿って装置19から送り出され、心臓から離れて上行ポート10を通る。少量の血液が反対方向に流れる、すなわち、下行ポート9を介して流出して心臓に逆流する(図7)。心室拡張の間、大動脈弁は閉じているので、この逆流は冠状動脈内に向かい、動脈を通る流量が増大し、心臓の筋組織の潅流を強める。] 図7
[0038] 実際には、装置は心室拡張期の間に、動脈系における血流を補助する二次拍動を与える。すなわち、装置は、位相外において心臓の脈動により律動するカウンターパルセイションを行うものとして表すことができる。患者の要求に応じた周波数にて循環が繰り返される。すなわち、循環は、心拍毎、または心拍の2拍毎もしくは3拍毎に繰り返され得る。補助量、すなわち装置が送り出す血液量は、異なっていてもよい。]
[0039] 患者の体外に装着された制御コンピュータ21は、上述したように、装置のポンプ動作を制御する。さらに、制御コンピュータは、装置内に配置されたセンサを使用し、心臓の動作に装置の動作を適合させるために、装置を流出入する血液速度を測定する。]
[0040] 上記装置は、一般に、LVADの使用に伴う合併症のリスクのいくつかを減らす。装置の形状により、装置内の血液が確実に装置の内外に「渦流」し、滑らかで連続的な流動パターンが可能となり、凝固が生じる可能性のあるうっ血領域を回避することができる。その結果、抗凝固治療を行う必要性が少なくなり、出血のリスクが低くなる。]
[0041] 装置の上行ポートおよび下行ポートを心臓の上行大動脈に移植するので、多くの利点が生じる。これにより、装置が大動脈弁の動作を利用して心室への逆流を防ぐことができ、周りに凝固が生じる危険性が高くなる人工弁を必要としない。]
[0042] 弁を用いない機構は、本来、大動脈に繋がる「開回路」を提供する二重安全機構である。装置に異常、例えば電源またはセンサの異常が生じた場合、装置は心臓から動脈系への血流を制限しない。また、弁を用いない機構は、複雑さ、および装置に必要な部材の数を低減させる。これにより、装置の小型化を図ることができ、製造コストを下げることができ、かつ異常が生じる可能性を減らすことができる。弁を用いない設計および装置の所望の位置は、冠状動脈に流れ込む生体血流を大幅に高める。その結果、生じる逆流量を抑えることができる。]
[0043] さらに、従来のLVADは、心臓のポンプ動作による血液の初期運動量を有効活用できない。それ故、所望の補助を得るために、より大型で、かつより強力なポンプを必要とすることが認められている。本明細書に記載のLVADの形状、弁を用いない設計、および注入部位は、この初期運動量を最大限に活用することができ、弱い心臓に設けられた場合であっても、相対的に小型で、かつ強力ではないポンプを使用して、従来と同様の性能を得ることができる。小型化された装置により、低侵襲性内視鏡技術を用いて挿入することができ、開心術の必要性をなくし、それ故、移植に伴うリスクを低減させる。]
[0044] 装置が、毎拍ではなく少ない周期の間に心臓を補助するように構成されている場合、さらなる利点がある。装置が作動していない「休止」周期の間、ポンプが作動していなくても血液が装置を流れ、この生体の血流がポンプ容積を洗い出し、血栓症のリスクを低減させる更なる特徴となる。]
[0045] 複式ポンプの使用により、1つのポンプが故障しても残りの1つが補助できるという更なる二重安全構造を設けることができる。さらに、制御コンピュータは、機能性ポンプの動作を高めるように、すなわち、ポンプが作動する周波数まで増大させ、故障したポンプを補完するように、プログラミングされている。当然のことながら、ポンプが通常通り機能する場合、複式ポンプを用いることでポンプ容量が向上する。]
[0046] これらの利点は、上述した装置が既存の装置よりも、より多くの患者、例えば子供、小柄な成人、および比較的軽度の心臓病の患者などに使用できることを意味する。当該装置は、「回復への架け橋」として機能し、心臓に十分な補助を与えて回復を促し、既存の装置で起こり得るのと同レベルのリスクを生じさせない。]
[0047] 線形アクチュエータまたは他の機構によって作動する押し板を使用する代わりに、電気刺激によって作動する人工筋肉材料によって構成された押し板を使用してもよい。EP1323925号公報には、小型の隔膜ポンプとして使用する電気活性ポリマーアクチュエータの一例が記載されている。形状または大きさの著しい変化を表示することによって電気刺激に反応する電気活性ポリマー材料(EPAM)の使用により、個別のアクチュエータモータを使用する必要がなく、装置の大きさ、および必要な電力を低減させることができる。]
[0048] 当業者であれば、本発明の範囲を逸脱することなく、上記実施形態に様々な修正を加えてもよいことがわかる。]
权利要求:

請求項1
内部空間を規定している筺体と、該内部空間に通じる、少なくとも2つのポートと、該少なくとも2つのポートの間にて該内部空間を介して血液をポンピングするための、少なくとも1つのポンプとを備えており、該ポートおよび該内部空間が、弁によって遮断されていない、連続的な血流経路を形成している、心室補助装置。
請求項2
上記筺体が、略円筒型の内部空間を規定している、請求項1に記載の装置。
請求項3
上記少なくとも2つのポートの間にて上記内部空間を介して血液をポンピングするための、1対のポンプを備えており、各ポンプが、該内部空間の横断面に配置された押し板を有している、請求項2に記載の装置。
請求項4
各ポンプが、上記押し板と、上記筺体の内面との間に配置された駆動装置を有している、請求項3に記載の装置。
請求項5
上記駆動装置が、線形振動アクチュエータを有している、請求項4に記載の装置。
請求項6
上記押し板または各押し板が、電気活性ポリマー材料を含んでいる、請求項3に記載の装置。
請求項7
上記押し板または各押し板の端部を上記筺体の内部に連結させる、可撓性隔膜を有している、請求項3〜6のいずれか1項に記載の装置。
請求項8
各上記ポートが、インサイチュにてその形状を実質的に保持する湾曲管を有しており、該ポートの湾曲方向が、略逆向きである、請求項2〜7のいずれか1項に記載の装置。
請求項9
上記ポートが、略正反対の位置にて上記内部空間に通じている、請求項8に記載の装置。
請求項10
上記ポートが、軸方向に離れた位置にて上記内部空間に通じている、請求項8または9に記載の装置。
請求項11
上記ポートが、上記内部空間を規定している上記筺体の上記内面と実質的に接するように該内部空間に通じている、請求項8〜10のいずれか1項に記載の装置。
請求項12
患者の胸腔内にて心臓の近傍に適合するように構成されている、請求項1〜11のいずれか1項に記載の装置。
請求項13
上記ポートのうち第1のポートが、上行大動脈の後側部に移植され、上記ポートのうち第2のポートが、上行大動脈の前側部または大動脈弓に移植されるように、構成されている、請求項12に記載の装置。
請求項14
請求項1〜13のいずれか1項に記載の装置と、上記ポンプまたは各ポンプに連結された電源と、上記ポンプまたは各ポンプの動作を心臓の位相に同調させる制御装置とを備えている、心室補助システム。
請求項15
上記制御装置が、上記ポンプまたは各ポンプに、左心室に対するカウンターパルセイションを行わせる、請求項14に記載のシステム。
請求項16
患者のECG信号を検知するセンサを有しており、該センサが、上記制御装置に連結されている、請求項15に記載のシステム。
請求項17
人体の胸腔内に心室補助装置を移植するステップと、上行大動脈の後側部に該装置の第1ポートを取り付け、かつ上記上行大動脈の前側部または大動脈弓に第2ポートを取り付けるステップと、第1ポートと第2ポートとの間にて血液をポンピングさせる該心室補助装置を作動させるステップとを含む、人体の治療方法。
請求項18
上記心室補助装置を、カウンターパルセイションを行うものとして作動させ、心室拡張期の間に上記ポート間にて血液をポンピングするステップを含む、請求項17に記載の方法。
請求項19
特定の心室拡張期の間に血液をポンピングし、かつ心室拡張期と心室拡張期の間に休止するように、上記心室補助装置を作動させるステップを含む、請求項18に記載の方法。
請求項20
上記心室補助装置が、請求項1に記載の装置である、請求項17〜19のいずれか1項に記載の方法。
請求項21
添付の図面における図2〜5を参照することによって実質的に記載されている装置。
請求項22
添付の図面における図6〜8を参照することによって実質的に記載されている方法。
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